狛犬・鳳凰・河童など
神社に行くと、様々な動物とともに霊獣たちが神の使いとして祀られています。
いずれも神社の守護や魔除けの役割を果たすもので、仏教とともに日本に伝来したと
伝えられています。
想像上の霊獣たち
狛犬(こまいぬ)
全国の神社で見られます。
主なご利益 魔除け、厄除け、家庭円満
神社には狛犬がつきものですが、その姿形は一つとして同じものがありません。
狛犬は古代オリエントで誕生し、インド、中国を経て日本に伝わったといわれています。
獅子はライオンのことですが、古代の日本人は獅子を見たことがなく、最初の頃は異様な
姿をしたイヌとして捉えたようです。
そのため異国のイヌということで「高麗犬(こまいぬ)」と呼ばれるようになり、やがて「狛犬」に
転じたといわれています。
四神(ししん、しじん)
京都 平安神宮 東京 神田明神
主なご利益 方位除け、魔除け、開運
四神は古代中国から伝わってきた霊獣で、青龍(せいりゅう)、朱雀(すざく)、白虎(びゃっこ)
、玄武(げんぶ)のことをいいます。
これらの霊獣が四方を司る守護神とされ、青龍は東、朱雀は南、白虎は西、玄武は北に配置
されるようになるとともに地形にも置き換えられました。
青龍は流水、朱雀は窪地、白虎は大道、玄武は丘陵にといったようになり、桓武天皇が京都に
平安京を置いたのもこの四神相応のちであったといわれています。
鳳凰(ほうおう)
東京 富岡八幡宮 東京 大島神社
主なご利益 五穀豊穣、天下泰平、招福
鳳凰は古代中国から飛鳥時代に仏教とともに日本に伝わってきた瑞鳥(ずいちょう)で、
とてもめでたい鳥とされています。
くちばしはニワトリ、あごはツバメ、首はヘビ、前半身は麒麟(きりん)、後半身がシカ、
背中はカメに似た姿で、オスを鳳、メスを凰といいます。
日本では鳳凰を聖天使のシンボルと見なし、天皇にまつわる事物に鳳凰の名称がつけられ
ました。
天皇の乗る輿(こし)を鳳輦(ほうれん)と呼び、屋根の頂上に鳳凰の飾りが付けられているのは
そのためで、これにちなみ、祭りの神輿の屋根にはしばしば鳳凰が飾られることがあります。
河童(かっぱ)
東京 水天宮 茨城 手接神社(てつぎじんじゃ)
主なご利益 安産、魔除け、厄除け
河童は日本各地に河童伝承が残っていて、頭に水をたたえた皿を乗せ、甲羅を背負い、
手足に水かきを持つ姿で描かれることが多く、川遊びをする子供や、ニホンカワウソが
モデルになったともいわれています。
河童は水の神や神の使いとして見なされることがあり、東京・水天宮では筑後川の河童を
神の使いとしているところもあります。
また、春と秋に山と川を移動すると考えられたことから、山の神、田の神として崇める
地域もあります。
龍(りゅう)
神奈川 九頭竜神社(くずりゅうじんじゃ) 東京 田無神社 青森 岩木山神社
主なご利益 五穀豊穣、雨乞い、開運
一般に龍の起源は古代中国にあるとされています。
頭はラクダ、頭頂はヘビ、角はシカ、目はオニ、耳はウシ、鱗はコイ、爪はタカ、手はトラ
の姿をした聖獣で、すべての動物の頂点に立つ存在です。
その龍が稲作文化とともに日本へ伝播したため、水神として崇められています。
鬼(おに)
東京 稲荷鬼王神社(いなりきおうじんじゃ) 埼玉 鬼鎮神社 青森 鬼神社(きじんじゃ)
主なご利益 魔除け、戦勝、五穀豊穣
鬼は古来恐ろしい存在であると信仰されてきましたが、一方人間の守護神としての性格
を持つ鬼もいます。
東京の稲荷鬼王神社や埼玉の鬼鎮神社は鬼を豊穣をもたらす春の神ととらえている為、
節分の豆まきは一般的には「福は内、鬼は外」と唱えるところを「福は内、鬼は内」と
唱えます。
また青森の鬼神社では、鬼が農民に水田耕作の技術を教えたという伝承が残っています。
天狗(てんぐ)
栃木 古峰神社 静岡 秋葉山本宮秋葉神社 茨城 大杉神社
主なご利益 火除け、厄難消除、招福
天狗は、深山幽谷に棲み、自由に空を飛び、神通力を持っている山の神の使いであると
考えられています。
天狗を祀る神社の多くは山岳信仰と深い関りを持っていて、例をあげると栃木県古峰ヶ原に
鎮座する古峰神社は日光修験の拠点の一つで、そこから天狗信仰が生まれたといわれます。
鵺(ぬえ)
京都 鵺大明神(ぬえだいみょうじん)
主なご利益 厄除け、魔除け
鵺は夜に鳴く声が不気味なため、鵺の声は凶兆であるとされ、鳴き声を聞いてしまったら
物忌みをして凶事を避けたという記録も残っています。
「平家物語」には夜な夜な京に現れる鵺に怯えた近衛天皇が病に伏せってしまったため、
源頼政に命じて退治させ、退治した鵺を鵺大明神に祀ったといわれています。
江戸時代の図によると、鵺は頭がサル、胴体がタヌキ、足はトラ、尾はヘビといった様々な
動物が組み合わされて生み出された妖怪と考えられています。
一説によると鵺は野鳥の「トラツグミ」だと考えられていて、トラツグミは夜になると悲しく
不気味な声で鳴くので、古代の人は妖怪と見なしたのだろうといわれています。
シーサー
沖縄 波上宮(なみのうえぐう) 沖縄 宮古神社
主なご利益 厄除け、魔除け、招福
沖縄の神社の中には狛犬の代わりに魔除けとして「狛シーサー」が置かれているところが
あります。
中国から沖縄に獅子像が伝来したのは、14世紀頃だといわれ、本土の狛犬とは異なり、
沖縄語で獅子を意味する「シーサー」と呼ばれるようになったといわれています。