日本の仏教宗派は基本13宗あります。
釈迦の時代には仏教宗派などありませんでした。
仏教は約2500年前にインド北部に出現した釈尊の教えにもとづいて出来上がった
宗教ですが、当初は宗派は存在しませんでした。
釈尊自体弟子や信徒に対し、一人ひとりがそれぞれの方法で悟りに至ればよいと
説いていて、弟子たちも派閥などは作らなかったといわれています。
中国に伝わってから宗派が生まれ始めました。
しかし釈尊が亡くなると、弟子たちは教えの解釈の仕方で分裂し始め、教えがインドから
中国に伝わると宗派が生まれることになりました。
当時の中国は儒教の存在があって、儒教の「相伝」という師弟間で教えを受け継いでいく
ならわしがあり、師は弟子を抱え込んで多くの学派を作っていました。
この発想が仏教にも影響し、いくつかの宗派ができるようになりました。
奈良仏教系(南都六宗)は学問の色合いが強い仏教でした
中国で発展した仏教は朝鮮半島を経て、6世紀ごろ日本へ伝来しました。
奈良時代に中国から来日した僧や日本からの遣隋使・遣唐使として派遣された留学僧はすでに
宗派別に分かれた仏教を伝えました。
法相宗(ほっそうしゅう)・華厳宗(けごんしゅう)・律宗(りっしゅう)などがそうで、これらを
奈良仏教系宗派(南都六宗)といい、学問的な色合いがつよく宗派というより学派と同じような
位置づけだったようです。
ちなみに奈良仏教系宗派である南都六宗(なんとろくしゅう)とは、法相宗、華厳宗、律宗のほかに
三論宗(さんろんしゅう)、成実宗(じょうじつしゅう)、倶舎宗(くしゃしゅう)がありましたが、
現存するのは法相宗、華厳宗、律宗の3宗のみとなっています。
平安時代になり、日本独自の宗派があらわれます。
平安時代になると、日本の仏教は新しい体系を作り上げ、日本独自の密教系宗派に分類される、
天台宗(てんだいしゅう)と真言宗(しんごんしゅう)が登場しました。
これらは現生利益的な教えで、貴族などを中心に広がってゆきました。
鎌倉時代になると念仏や座禅などが盛んにおこなわれました。
平安時代末期から鎌倉時代に入ると、仏法が廃れ、世の中が乱れるという末法思想(まっぽうしそう)
が流行する中で、新しい宗派が次々生まれてきました。
「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」の念仏を唱えれば救われるとする浄土宗(じょうどしゅう)や
浄土真宗(じょうどしんしゅう)、禅系宗派の臨済宗(りんざいしゅう)や曹洞宗(そうとうしゅう)、
法華経(ほけきょう)を最高の教えとする日蓮宗などが登場しました。
その後江戸時代に入ると禅系宗派の黄檗宗(おうばくしゅう)が加わってきました。
日本の仏教13宗派一覧
奈良仏教系宗派(ならぶっきょうけいしゅうは)
法相宗(ほっそうしゅう) 宗祖:道昭(どうしょう) 本山:興福寺(こうふくじ)・薬師寺(やくしじ)
本尊:薬師如来(やくしにょらい) 根本経典:成唯識論(じょうゆいしきろん)、解深密教(げじんみっきょう)
教義:あらゆる事象の存在を心のはたらきで説明する唯識思想(ゆいしきしそう)で世界を
認識します。
華厳宗(けごんしゅう) 宗祖:良弁(りょうべん) 本山:東大寺(とうだいじ) 本尊:毘盧遮那如来
(びるしゃなにょらい) 根本経典 : 華厳経(けごんきょう)
教義:全宇宙の万物は互いに関係しあって成立しているという思想です。
律宗(りっしゅう) 宗祖:鑑真(がんじん) 本山:唐招提寺(とうしょうだいじ) 本尊:毘盧遮那如
来(びるしゃなにょらい) 根本経典:四分律(しぶんりつ)
教義:釈尊の定めた規則を遵守し悟りへと向かってゆきます。
密教系宗派(みっきょうけいしゅうは)
天台宗(てんだいしゅう) 宗祖:最澄(さいちょう) 本山:延暦寺(えんりゃくじ) 本尊:釈迦如来
(しゃかにょらい) 根本経典:法華経(ほけきょう)
教義:天台の教え・密教・戒律・禅を融合した総合仏教です。
真言宗((しんごんしゅう) 宗祖:空海(くうかい) 本山:金剛峯寺(こんごうぶじ) 本尊:大日如来
(だいにちにょらい) 根本経典:大日経(だいにちきょう)、金剛頂経(こんごうちょうきょう)
教義:この身このまま現生での成仏を目指します。(即身成仏)
浄土系宗派(じょうどけいしゅうは)
融通念仏宗(ゆうずうねんぶつしゅう) 宗祖:良忍(りょうにん) 本山:大念仏寺(だいねんぶつじ)
本尊:十一尊天得如来(じゅういっそんてんとくにょらい) 根本経典:浄土三部経(じょうどさんぶきょう)
教義:念仏が次々と融け合えばすべての人々が往生(おうじょう)できる「融通念仏(ゆうずうねんぶつ)」という教えです。
浄土宗(じょうどしゅう) 宗祖:法然(ほうねん) 本山:知恩院(ちおんいん) 本尊:
阿弥陀如来(あみだにょらい) 根本経典:浄土三部経(じょうどさんぶきょう)
教義:念仏を唱えれば極楽浄土に往生できるという思想です。
浄土真宗(じょうどしんしゅう) 宗祖:親鸞(しんらん) 本山:西本願寺(にしほんがんじ)、
東本願寺(ひがしほんがんじ) 本尊:阿弥陀如来(あみだにょらい) 根本経典:浄土三部経(じょうどさんぶきょう)
教義:阿弥陀如来の本願力で往生できるという思想です。
時宗(じしゅう) 宗祖:一遍(いっぺん) 本山:清浄光寺(せいじょうこうじ)通称:遊行寺
(ゆぎょうじ) 本尊:阿弥陀如来(あみだにょらい) 根本経典:浄土三部経(じょうどさんぶきょう)
教義:信心有無にかかわらず念仏を唱えれば往生できるといった思想です。
禅系宗派(ぜんけいしゅうは)
臨済宗(りんざいしゅう) 宗祖:栄西(えいさい) 本山:建長寺(けんちょうじ)、妙心寺(みょうしん
じ) 本尊:釈迦如来(しゃかにょらい) 根本経典:なし
教義:禅問答である「公案禅」で悟りにいたることが目的です。
曹洞宗(そうとうしゅう) 宗祖:道元(どうげん) 本山:永平寺(えいへいじ)、総持寺(そうじじ)
本尊:釈迦如来(しゃかにょらい) 根本経典:なし
教義:座禅自体がすでに悟りであるという考えです。
黄檗宗(おうばくしゅう) 宗祖:隠元(いんげん) 本山:萬福寺(まんぷくじ) 本尊:釈迦如来
(しゃかにょらい) 根本経典:なし
教義:座禅と念仏を合わせた念仏禅で悟りに至るという思想です。
日蓮系宗派(にちれんけいしゅうは)
日蓮宗(にちれんしゅう) 宗祖:日蓮(にちれん) 本山:久遠寺(くおんじ) 本尊:釈迦如来(しゃか
にょらい) 根本経典:法華経(ほけきょう)、大曼荼羅(だいまんだら)
教義:南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)の題目を唱えれば現生で救われるという思想
です。
まとめ
日本の仏教は13宗派ありますが、現在はこれをもとに150以上の宗派に枝分かれしています。