戦国武将が神社に神として祀られる理由は、遺言や御霊信仰の影響があったから
実在の人物が死後に神として祀られることを人神とか人格神と呼ばれています。
天皇・皇族以外の人物が神として祀られるようになったのは、九世紀頃で、恨みを持って
死んだ人の霊魂は怨霊となって祟るという御霊信仰が現れてからで、その代表格が天神様の
菅原道真です。
御霊信仰が現れて以後は人神の観念は日本人の精神文化の中に完全に定着し、それ以降、
非業の死を遂げた人物だけでなく、偉業を成した徳の高い人物、政治や文化などの面で
カリスマ的な偉人などが祀られるようになりました。
戦国武将が祀られている主な神社
徳川家康 栃木県日光市 日光東照宮(にっこうとうしょうぐう)
日光東照宮は、徳川政権の安定を願い自ら守護神となるため、「神として祀るように」という
遺言を残した徳川家康を東照大権現として祀っています。
東照宮の現在の豪華な社殿は三代将軍家光によって寛永十一年(1633)に竣工されました。
豊臣秀吉 京都市東山区 豊国神社(とよくにじんじゃ)
豊国神社は豊臣秀吉の死去した翌年の慶長四年(1599年)遺命により遺骸が方広寺近くの
阿弥陀ヶ峰山頂に埋葬され、その麓に方広寺の鎮守社として廟跡が建立されたのが起源です。
織田信長 京都市北区 建勲神社(たけいさおじんじゃ)
建勲神社は、豊臣秀吉によって船岡山に織田信長の鎮魂の寺の建築が始められましたが
中断され、明治八年(1875年)に明治天皇の命により現在のちに創建されました。
武田信玄 山梨県甲府市 武田神社(たけだじんじゃ)
武田神社は信玄の父信虎、信玄、信玄の子勝頼の三代にわたって居城とした躑躅ヶ崎
(つつじがさき)館跡に、大正八年(1933年)に創建されました。
毎年四月二十四日には武田二十四将騎馬行列が盛大に行われます。
上杉謙信 山形県米沢市 上杉神社(うえすぎじんじゃ)
上杉神社は、明治九年(1876年)に米沢城址に創建され、当初は米沢藩祖の上杉謙信と
中興の名君上杉鷹山を祀ったもので、現在は謙信のみが祀られ、鷹山は摂社にあたる
松岬神社(まつがさき)神社に分祀されています。
黒田如水・黒田長政 福岡市中央区 光雲神社(てるもじんじゃ)
光雲神社は明治四十年(1907年)に創建され、福岡藩祖の黒田如水と初代藩主黒田長政が
祀られています。
神社名は二人の法名(ほうみょう)から一字ずつ採ったもので、現在は西山公園山頂に鎮座
しています。
伊達政宗 仙台市青葉区 青葉神社(あおばじんじゃ)
青葉神社は、明治七年(1874年)の創建で、仙台藩祖の伊達政宗を祀っています。
境内の祖霊社には正宗の家臣を祀り、愛姫神社には正宗夫人が祀られています。
加藤清正 熊本市中央区 加藤神社(かとうじんじゃ)
加藤神社は、熊本城本丸跡にあり熊本城の築城や熊本発展の基礎を作った加藤清正を
祀っています。
明治四年(1871年)創建当初は「錦山神社(にしきやまじんじゃ)」と称していましたが、
後年現在の神社名に改称しました。
島津義弘 鹿児島県日置市 徳重神社(とくしげじんじゃ)
徳重神社は明治四年に創建され、関ヶ原の合戦のとき壮絶な的中突破退却戦で名を馳せた
薩摩藩第十七代藩主島津義弘を祀っています。
前田利家 石川県金沢市 尾山神社(おやまじんじゃ)
尾山神社は加賀藩祖の前田利家を祀っています。
利家死後、二代藩主の利長は徳川幕府に遠慮して卯辰八幡宮の社殿建立を名目にして
利家の霊を合祀し、廃藩置県後の明治六年(1873年)に藩主別邸だった旧金谷御殿跡地に
現在の社殿を建立しました。